メカトロニクス工学科に所属している研究室と主な研究トピックを紹介します。本学科には、主として機械系・電気系・情報系の研究者が所属しており、魅力的な研究を実施しています。

石井研 | 岡村研 | 北村研 | 金研 | 小谷・渡辺研 | 清水研 | 鈴木良弥研 | 丹沢・北野研 |寺田・石田・牧野・孫研 | 西崎研 | 森澤研 | 平研

石井研究室

超音波振動に関する研究

石井研究室では超音波に関する研究、特に超音波モータと呼ばれる超音波振動を利用したモータの研究を中心に行っています。超音波とは20kHz以上の聞こえない音や振動のことをいいます。超音波モータはその超音波振動から摩擦力を利用して駆動力を取り出しているのが大きな特徴で様々な長所からその発展が期待されています。  

岡村研究室

ユニバーサルデザイン,およびそのマネジメントに関する研究

ユニバーサルデザインは「すべての年齢や能力の人々に対し,改善または特殊化された設計の必要なしで,可能な限り最大限に使いやすいデザイン」であり,ヒトの様々な特性に起因する問題を解決する方法です。 年齢や能力の違いに関係なく人として自律して暮らせるためのモノや環境について,そして,どうすればそれらが実現できるのかについて研究しています。 

北村研究室

空力騒音と低周波音の研究

高速列車が風を切って走ったり、風力発電機の羽が風の力で回転するときに音が発生します。この様な風と物体の作用による音を空力音と呼びます。空力音をが高速列車沿線や風力発電設備周辺の住民を悩ませた時に空力騒音となります。この空力騒音がなぜ発生し、人にどのように影響しているのかを研究しています。 また、空力騒音の中に低周波音と呼ばれる低く人に聞きにくい音の成分があります。個の低周波音は時として人に不快感を与えますが、あまり人に聞こえないため環境基準もありません。そこでこの低周波音がどのように人に影響を与えるのか研究をしています。

金研究室

光変調技術を用いた光計測

光は、振動方向と進行方向がお互いに垂直な横波です。光波が媒質の中で進行する際、光波の振動方向により、光波の感じる屈折率が異なります。例えば、光波がXYZ座標のZ軸方向に進行するとき、X軸で振動する成分とY軸で振動する成分は異なる屈折率の影響を受けます。屈折率がどのくらい違うかは媒質の分子の並び方などによります。ガラスの場合はその違いが0で、水晶や液晶の場合はとても大きいです。光波の振動方向により、媒質の屈折率が異なることを、複屈折現象といいます。すなわち、一つの媒質が二つ以上の屈折率持っていることです。複屈折現象は、ときには、観察者に自然の美しさをプレゼントしたり、ときには、先端技術の分野などで邪魔者になったりします。 金研究室では、様々な試料の持っている複屈折をより正確により高速に計測する方法を開発しています。

小谷・渡辺研究室 HP

視覚情報を基にした自律移動ロボットに関する研究・開発

様々なロボットが社会に登場して活躍していますが,我々の研究室では,外界の情報を多くのセンサ(特に視覚センサ)で取得して,その情報を基に周囲の環境を認識し,状況に応じて行動する自律移動ロボットの実現を目指しています. 応用例としては,障害者を支援する補助ロボット・補助装置が挙げられます.

視覚情報を用いた支援装置に関する研究

生活する上で,「視覚」はとても重要な機能のうちの1つです.人間は視覚を 用いて多くの情報を得ています.視覚機能を解明するとともに,現在は,視覚障 害者の生活を支援する装置について研究しています.主に視覚センサと距離セン サを用いて周囲の環境を認識し,安全に目的地までナビゲーションする装置を開 発しています.感性と融合することによって,楽しく,使いやすいシステムを目 指しています.

モモシンクイガ被害果検出システムの開発

詳細はこちら

清水研究室

生産技術における加工と計測

ものづくり分野には,「加工と計測」という領域があります.私たちが購入する商品は,誰かが必ず何らかの加工をしています.出来上がった部品や製品は検査されます.その際に必要となる研究領域です. <加工:仕上げ加工と切削加工を研究しています>  工作で作品を仕上げるときに,紙ヤスリできれいに仕上げたことがあると思います.工業分野でも仕上げは重要ですので,仕上げ方法や仕上げ面の評価を行っています. また,鉛筆をカッターで削ったことが一度はあると思います.もし,金属を削るとしたら?とても力が必要となりますね.切削加工では,如何にきれいな加工面で,そして工具が長持ちするか研究しています. <計測:画像を応用した三次元形状の計測を行っています> カメラを二つ以上用いることで三角測量の原理から対象の形状を計測することができます.もし,機械が自動的に対象の形状や大きさを判断できれば自動で製品を検査してくれます.(実際には,その後の動作設定など難しい課題がたくさんありますが...)そのための形状計測方法について研究しています.  

鈴木良弥研究室

文書からの知識獲得

私たちの周りには膨大な文書があふれています.しかもその数は毎日増えています.たとえば新聞などの記事は毎日何十ページも執筆されます.それが新聞社の数だけ増えていきます.また新聞社のWebページには1日にいくつも記事が追加されます.私たちはWebページ,特許,新聞記事などの文書から,なるべく簡単に知識を得るための支援を行うシステムの開発に取り組んでいます.
研究内容(1)各種辞書の自動生成(2)複数記事の自動要約(3)質問応答システム

丹沢・北野研究室

ステレオカメラによる三次元環境認識

ステレオカメラは,2台のカメラを並べて固定したカメラシステムである.この2台のカメラで同一対象物を撮像し,その画像を比較すると,視差(画像間での同一対象物の位置にズレ)が生じる.この視差により,人間の眼と同じようにコンピュータにも立体的に周囲環境を認識させることが可能となる.このステレオカメラは通常のカメラ画像(輝度・色情報)に加え3次元(奥行き)情報を利用できるため,複雑な環境でも高い信頼性での環境認識が可能となる.本研究では,適応範囲拡大のためにステレオカメラの低コスト化・測位精度の向上,アプリケーション開発などを行っている. 

パラレルリンクを利用した腕部装着型支援ロボットの開発

人の腕の動きをサポートする装着型のロボットの開発を行っています。装着型ロボットとは腕輪や手袋のように着込むように装着するロボットのことで、特に腕部の動きの支援を目的とし、パラレルリンクと呼ばれる特殊なリンクを利用した装着型ロボットを開発しています。パラレルリンクとは複数のアクチュエータを並列に並べ、動作の制御を行う機構のことで、このリンクを利用して人の腕のすべての動きの支援が可能なロボットの開発を目指しています。また、装着型ロボットは人と常に接した状態で利用されるため運用時の人体への影響など、一般的な産業用ロボットなどとは異なる課題や問題が存在し、それらを解決するための研究も行っています。

寺田・石田・牧野・孫研究室

ロボットシステムとアクチュエータの研究

寺田・石田・牧野・孫研究室では,ロボットの運動軌跡について解析し,合理的に動くシステムの構築を目標としたアルゴリズムに関する研究を行っています.図1は複数台のロボットの同期制御による紙箱の組立作業の例です.また近年は医工連携の要望の高まりから,医療支援ロボットシステムに関する研究も進めています(アシストロボットのWebページ).図2は開発中のリハビリテーション用歩行アシストロボットです.更に高性能なロボットを実現するために,バックラッシ(ガタ)のないオリジナルな減速機構の開発も進めています.図3は本研究室で開発した一例で実用化され,液晶テレビの製造装置や新幹線プラットフォームドアなどに使用されています. 

トライポロジ(摩擦・摩耗・潤滑)に関する研究

  • 人工関節に関する研究:人間の関節は良好に潤滑されているため、摩擦が極めて小さく、きしみ音もなく、摩耗はゼロです。しかし、関節の病気の場合に体内で使われる人工関節は摩擦・摩耗が大きく、改良すべき点が多くあります。図は一般的な人工股関節の構造であり、寿命は15~20年です。そこで、より長期間の使用に耐えられる人工股関節の研究をしています。
  • 焼付きの予知に関する研究:焼付きとは、摩擦面同士がくっついてしまうことをいいます。この焼付きは突然発生し、例えば、車のエンジンが突然止まる原因のひとつとなっています。そこで、焼付きの発生するメカニズムの解明や焼付きを防止するための予知などに関する研究を行っています。

西崎研究室 HP

深層学習(ディープラーニング)に基づいた知的マルチメディア処理

西﨑研究室では、時系列信号(音声等)・テキスト・画像の3大メディアを対象とした研究に幅広く取り組んでいます。例えば,音声認識基盤技術とその応用,音声以外の音の識別,音声やテキストに対する感情認識,文字認識などです。近年では,深層学習技術が急速に発展しており,この技術を用いて,これらのメディアの知的情報処理の研究に取り組んでいます。また,最近では,Internet-of-Things(IoT,モノのインターネット)の考え方で,あらゆるところにセンサーを設置し,そこからセンシングした情報を人工知能技術で処理する研究も盛んです。その応用例の一つとして,Wi-Fi信号を用いた人間センシング(人間が部屋のどこに居るか)の研究なども,海外との大学と共同で行っています。

情報系の本研究室では,ロボットでの人工知能(人間の音声言語を理解する)や ヒューマン・マシンインタフェース(音声ユーザインタフェース)の研究も行っています。ユーザインタフェースとは,コンピュータや機械が利用者に対して情報を表示する方式や,利用者が情報を入力するための方式のことです。情報システムや機械の使い勝手をマルチメディア処理を通じて良くしていこうというものです。

資料ダウンロード

森澤研究室

(鈴木裕先生は2022年4月から異動されました。研究内容は過去のものも含まれていることにご注意ください。)

プラスチック光ファイバを用いた各種ガス検出センサの開発とその応用

非常に透明なガラスやプラスチックを用いて作られる光ファイバは、長い距離をほとんど減衰しないで光を伝えることができるため、データ通信に欠かすことのできないものになっています。この光ファイバを計測に応用したものが光ファイバセンサです。光ファイバはコアとクラッドと呼ばれる2層構造をしていますが、光ファイバの表面にあるクラッド部を工夫して、湿度やガスなどに応答する光ファイバを作成し、光によって簡便かつ安全に測定できる技術について研究を行っています。

ヒトの聴覚特性を模したディジタル信号処理

ある対象音に熟練した専門家の判断は,時として既存の信号処理技術を駆使した 装置を超越した能力を発揮します。そこで,ヒトの聴覚特性・認知能力を考慮し た信号処理法を構築し,聴覚感性を探ると共に以下のような課題に活用・応用を 試みています。
(1)音色の知覚・認知
 「やわらかい」「金属的な」というようにヒトの音に対する感覚は,抽象的な言 葉として表現されます。このような肌触り的な感性と物理量の関係を調べるため に,ヒトの聴覚特性を考慮した信号処理を開発しています。特に,微小音の果た す役割に注目しています。
(2)TV・ラジオ・拡声装置
(3)補聴器・フィッティング支援装置
 聴覚の外有毛細胞には小さな音を相対的に大きく非線形増幅させて知覚させるは たらきがあり,正確な聴き取りのために大きな役割があります。高齢者に多い感 音性難聴は,主として,この外有毛細胞のはたらきの低下によるものです。つま り,大きな音はよく聞こえるが,音を小さくしていくと急激に聴き取りが悪くな る特性となります。本研究では,この特性を補助する信号処理を施し,放送や拡 声装置の聴き取り向上・ユニバーサルデザインや,模擬難聴・補聴器のフィッ ティング支援を試みています。
(4)聴診型診断支援装置
 病変のスクリーニング検査として,古くはヒポクラテスの時代より聴診は行われ てきました。このように生体音は健康状態を知る上で重要な要素を含んでいると 考えられ,手軽な診断装置として普及することが期待されます。本研究では透析 内シャントから発生する血流音(シャント音)を対象として,その音響的特徴に よって血管の狭窄を見つけ出す診断支援装置の開発を行っています。
(5)聴覚BMI(Brain Machine Interface)の開発
 人工内耳は内耳の一次聴神経に電気刺激を与えることで補聴する技術ですが,そ れ以上の聴覚上行路が障害された場合の対応は不可能です。そのような障害に対 応するため,本研究では大脳聴覚野に直接電気刺激をすることで補聴する技術の 開発を行っています。

平研究室


石井研 | 岡村研 | 北村研 | 金研 | 小谷・渡邉研 | 清水研 | 鈴木良弥研 | 丹沢・北野研 | 寺田・石田・牧野研 | 西﨑研 | 森澤・鈴木研 | 平研