メカトロニクス工学科では、産業・民生用ロボットなどの電子機械製品の開発において、機械系、電気系、情報系技術者による協働開発への従事のみならず、ニーズを理解した上で機械・電気・情報の知識・技術を利用、活用して問題解決できる能力を有する人材の育成を図ることを理念としています。このため、全学的に定められた教養と汎用能力に加えて、以下の専門知識・スキルを身につけた学生に学位を授与します。

メカトロニクス工学科卒業生が備えるべき専門知識・スキル

※下記において、三分野とは、機械分野、電気分野、情報分野を示す。

  1. 技術者・研究者にとって必要な数学と物理の基礎知識
    • 数学の基礎的事項(微分積分、線形代数、確率統計、フーリエ変換など)の理論と活用方法を説明でき、それらを使った計算ができる。
    • 物理の基礎的事項(力学、電磁気学、波動、熱力学)の理論と活用方法を説明でき、それらを使った計算ができる。
  2. 三分野での活躍を目指す技術者・研究者にとって必要な基礎知識と技術
    • CADを使って、JISに基づく機械製図が書け、それに従って基本的な工作機械を使った簡単な加工品が製作できる。
    • 基本的な電気回路の動作を理解したうえで、回路図の読み書きと、それに基づく電子回路の製作ができる。
    • C言語による基本的(データ型、制御構造、関数等)なプログラムが作成でき、組込み用マイコンの基本的なI/O制御プログラムをマイコンの概要と動作の理解の上で作成できる。
    • 一次及び二次遅れ系の伝達関数とボード線図を求めることができ、それらに基づきPID制御などの基本制御系の設計ができる。
  3. 三分野のうち、一つ以上のより専門的な技術と知識
    少なくとも一分野の技術と知識を十分に身につけ、さらに一つ以上の分野の技術と知識も身につける。
    1. 機械分野
      ・材料の性質を理解した上で、設計に適した材料やその加工法が選択でき、機器の設計をすることができる。
      ・機械要素や機構の動作を理解した上で、設計に適した機能を有する機械要素および機構を選択でき、それらを組み合わせた機器の設計をすることができる。
    2. 電気分野
      ・線形素子、基本的な電子デバイスからなる回路の動作原理・特性を説明し、それらの素子を使った回路を設計できる。
      ・デジタル信号処理技術をもとにしてデジタル形式で表現された信号を処理することができる。
      ・論理回路、順序回路の解析・設計ができる。
      ・動的変数、再帰関数などを用いた線形リスト、木構造、ソートのプログラムが書ける。
    3. 情報分野
      ・論理回路、順序回路の解析・設計ができる。
      ・動的変数、再帰関数などを用いた線形リスト、木構造、ソートのプログラムが書ける。
      ・コンピュータのアーキテクチャ(構成様式)と動作原理が説明できる。
      ・組込みシステムにおいて、ソフトウェアを開発することができる。
  4. 三分野の知識を利用した分野をまたがった活用
    • 三分野を横断した考え方をもとにした議論の上で、結果を導き出すことができる。
    • アーキテクチャ、ハードウェア、プログラミング、電気信号、電子回路、センサ、アクチュエータ、機構、材料、等の関連性を考慮した上、総合的な設計をして製作ができる。
    • 研究・開発の目的を十分理解した上で、その目的に応える問題解決ができる。
  5. 研究・開発工程を把握・設計できる基礎技術と、研究・開発遂行に必要なコミュニケーション能力の習得
    • 異なる技術分野をコアとする技術者とともに、目的の共有と課題の把握ができ、その解決方法について議論できる。
    • 課題を解決するための提案、デザイン、手順を含む構成要素を議論でき、それに基づいて実行できる。